![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=660x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i56e608b6cdd89493/version/1606965855/image.jpg)
今年の4月に購入したものの、
遅々として読み進まず
ようやく読了したこの本。
長かったです。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=660x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i03a5e206476f7540/version/1606966780/image.jpg)
原作タイトルは「The Over story」
日本語訳された
本書のタイトルは「オーバーストーリー」
そのままだ。
ストーリーというと、多くの日本人は
物語と読み取るのだろうけど、
基本的には「樹冠(層)」を指し、
層、階層を意味しているらしい。
(辞書を見る限り、私は?だけど)
そして、私たちが連想する物語という
意味もstoryにはあるので、
訳者は「物語を超える物語」とも
捉えられると言っていた。
深いな。
![文字もびっしり](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=660x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i759a1455d432c5f1/version/1606968083/image.jpg)
この本、何度も言いますが長いです。
そして、登場人物がやや多く、
個々の人物の話が
木に導かれるようにして
それぞれで展開していきます。
やがて登場人物たちは合流しますが、
ある事件を機にまたバラバラになり、
再びそれぞれの人物ごとに話が進行します。
こんな風に、それぞれの人物の話が
細切れに進んでいくので
人物の名前や背景なんかが途中で
わけわからん状態になりがちです。
(でも読み返す気にもなれない)
668ページに及ぶ物語。
ほんと、長かった。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=660x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i0918d460d5383cb4/version/1606968088/image.jpg)
個人的には、新鮮さはなかった^^
自分の中ですでに
存在する物語だったので。
ただ、自然破壊や保護、気候変動
という複雑な問題をうまく文字化、
(ここでは登場人物たちを使って)
表現しているので、
私もこれくらい深く語れたらなぁ、と
少し反省しながら読みました。
それとは別に、
自分の中にある
自然破壊やそれに伴う
気候変動に対する思いや
自然物を見るときの感性を
再確認するような描写が多くあり、
興味を引きました。
特に樹木では、
そうしたものが出てくるたび、
あぁこれ好きだわぁ、
という喜びにも似た
好奇心に駆られました。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=658x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i9738b2713ecb63ed/version/1606966059/image.jpg)
例えば、
ある人物の子供時代では
「葉の形が一枚一枚違う桑の木に苛立つ」
描写があり、
そこまで細かい表現いる?
なんで入れた?と思いつつ
木が好きな人が書いたように思え、
同類のニオイを感じて好感が持てたり、
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=660x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i062122a8757c9da4/version/1606966281/image.jpg)
また、
「ブラックウォルナットの葉痕は猿の顔に似ている」
とあり、
ああ日本のオニグルミと一緒ね!
と親近感が湧いたり、
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=658x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i6e997ddfd82b7e90/version/1606966689/image.jpg)
さらに、
ヤマナラシの葉が風に揺れる音を
「上品な喝采」
と表現する所なんてもう
たまらんかったです。
![](https://image.jimcdn.com/app/cms/image/transf/dimension=660x10000:format=jpg/path/s6564e88753de8f95/image/i5c737faf1dfc8dcc/version/1606968285/image.jpg)
もしかしたら、
樹木や昆虫、鳥、あらゆる「自然物」を
風景の一部として見逃してしまっている人は
新しい感覚を得られるのかもしれません。
紅葉の季節や、目立つ花を咲かせる時は
目に入れるのかもしれませんが、
普段から今日の葉っぱ、今日の虫の動き、
なんて一つ一つのことを
多くの人は気にしてませんよね。きっと。
知らんけど。
この本の中では、そうした
小さな気付きに導いてくれそうな
感受性や感性に目覚めかけている人は
新鮮な面持ちになれそうだけど、
それらが眠ってしまっている人や
理屈でがんじがらめになっている人は、
この表現はだから何なのよ、とか、
何なんだ?何が言いたいの?
となりそうな本でした。
それにしても、長かったな。
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