見た目がシブく製本されたこちらの本は、鍬形蕙斎(くわがた けいさい)という江戸時代の
浮世絵師が描いた生き物たちのカット集です。
略画式とあるように、対象の特徴は押さえたまま残りは上手に省略してサラサラっと表現、
この省略の仕方が何とも上手い。基本の絵が出来ているからなんでしょうが、
それにしてもよく観察してるな~、と感心します。
イヌ・ネコに限らず、動物の後ろ姿に何とも言えない愛着みたいな
感情が湧く私ですが、彼も同じ類の人間だったのでしょうか。
本の中には、いくつもの動物の後ろ姿が出てきます。
右側のシカの後ろ姿なんて、哀愁漂うようでたまらなく好きです。
なんかもう、小突きたくなる。
カラスに関してはどうなんでしょう。
描き方が微妙に違います。
右側の真横姿のカラスは尾を下げて前に屈んで鳴いているように見えます。
その傾向があるのはハシボソガラスです。が、ここで描かれている姿は
嘴が湾曲気味でおでこが出っ張っているのでハシブトガラスっぽく見えます。
細かいツッコミ(笑)
正確でなくても違いに気づいて描き分けようとしていたのか、ただ単に技法を
変えていただけなのか。
真偽の程が分からなくても、こうして眺めているだけで気分が柔らかくなります。
時々、本棚から出してはページをめくり、かわいぃな~、とつぶやく事でしょう。
昨日、記録的な冷え込みを更新した東京へ行ってました。
仕事ではなく個人的な用事だったのですが、1日で行って帰ってくる移動時間!
できるだけ身軽に、と思って手荷物をごく少量にまとめたのが運の尽き。
駅から目的のビルまで徒歩数分、その間に見つける小さな小さな身近な自然が
展開される様に自分でも驚くほど心が踊りました。
ソメイヨシノの蕾はまだふっくらしたままだけど、隣りのウメの花はふんわり開いて、
ビルとビルの間に作られた庭園に来れば花の蜜を求めメジロが降り立ち、
さらに目を見張ると建物裏の木立に飛び込むオナガの姿。他にもたくさん。
歩きながら、見上げたりかがんだり。まるで、宝探しゲームのようでした。
すれ違う人は、私を見てさぞ不思議だったことでしょう。
いつもの高倍率ズームのカメラを持たなかったので、写真はこの程度なのが残念。
その代わり、目にしっかりと焼き付けてきました。
昨年は3月の晴天時にお越しいただいたお客様。
今年はニセコらしいバフバフの雪が降る中、ご参加くださいました。
夏は登山をしたり、冬はスノーボードをしたりと、なかなか活動的な一面がある一方、
歩きながら動物の痕跡や植物を見つける目は鋭いお方たちです。
見つけたら、じっくり観察になります~。
この這ってる植物は何だ何だ、さっきのと似てるけど巻き方がちょっと違う~、と観察中です。
ツアー中はこんな風に、歩いては立ち止まり植物観察の繰り返しです。
でもやっぱり活発な部分もある若いお二人のために、帰りは勢い良く駆け下りられる斜面を選択。
これが、とっても気持ちいいんですよ。
下りはあっという間。
最後は、今度自分のスノーシュー買います!宣言まで出ました。
良いですね、素敵なスノーライフを♪
ノーライトデザイン、札幌にあるアウトドア用具を制作している会社です。
数ある製品の一つであるスノーシューは、一台一台手作り。
現在はその生産を止めてしまったため、新たに手に入れるのは難しくなりました。
先日、こちらの工房にお邪魔して、ここに至るまでの物語を聞いてきました。
スノーシューが日本に入ってきたのは、二十数年前。
当初は、アウトドア系の雑誌に取り上げられたりして、にわかに脚光を浴び始めたものの、
どのスノーシューも高価で一般にはまだ敷居が高いものだと感じていたそうです。
ならば自分たちで作ってみようと、見よう見まねで作り始めたのが最初。
遊び心で作り始めたスノーシューは、友人、知人と利用の輪が広がっていく中で、
生活・日常道具として使われて欲しいという想いが膨らみさらなる物作りへ。
「子供こそ好んで雪の中に入っていくけど、大人になったら森に行って
雪と触れ合うことなんてなくなるでしょう。そこを結ぶ道具として普及させたかった。」
そんな事をおっしゃってました。
痺れます。
スノーシューではなく「西洋かんじき」と表現しないと通じにくい場面こそありますが、
それでも、色んなメーカーから多種多様なスノーシューが出回り、道内のホームセンターでも
販売されるようになった今「俺の役目はもう終わったんだ。」なんて格好良いこと言います。
独立する前、組織に所属していた時に知り合い、何度かお邪魔しているこちらの工房。
もうここで新たなスノーシューが作られる事はないのかぁ、と思うと寂しく、
「作り始めた時はね、試行錯誤の繰り返しでね・・・」なんてお話にも聞き入ってしまいます。
最後に無理をお願いして、一台、購入させてもらいました。
身長の割に足の小さい私のために、ちょこっと修正。
職人が使う道具にも手業にもいちいち「格好良い」とつぶやき、付きまとう私。
この方の語りを聞くのと仕事姿と出来上がっていく製品を見てるのが好きなんですね。
ひどく邪魔でしょうけど。
なんだかんだと、無事入手。
子供のように「やった~」と口走り、嬉しさ余って小躍りしそうになりました。
機能性、耐久性、デザイン、どれも大事な要素ではありますが、
想いが込もったこちらのスノーシューは、何にも代えがたい愛着が私にはあります。
大事にいっぱい使いますよ。
先週末、登別にあるネイチャーセンター「ふぉれすと鉱山」へ行っていました。
と言うのも、北海道アウトドアミーティングという、自然を舞台に活動する方たちが集まり、
顔合わせや情報交換を行う交流会の会場がこちらだったのです。
知り合いの方にお声掛け頂き、私も一参加者として、他地域の方たちとの交流を楽しんできました。
傍から見たら、自然の中で活動している人達と一括りに捉えられがちかもしれませんが、
業種が違えば、価値観だったり、物事の捉え方だったり、持っている情報だったり、
そうしたものは相応に変わってきます。
自然以外の共通項は、強いて言えば、他には見られない際立つ個性を持つ人が多い。
こうして、同じようでいて少しずつ違う価値観の方たちとの交流は、刺激にもなりますし、
何より自分自身の考えをより意識できる機会でもあります。
実力派揃いの懇親会という名の飲み会は夜が更けるまで。この世界では、よくあるパターンです。
酔っ払った勢いで撮った写真は不特定多数のお顔が出てしまいそうなので割愛を。スミマセン!
それだけ、会話がメインだったという事で・・・。
森の中で見たこちらの足跡。
見るなり「これまた、いつものフィールドでお馴染みの足跡と何か違う。」
と脳内センサーがキャッチしました。
足跡の付き方は、キツネのように直線的でなく、左右ジグザク気味でどこかタヌキっぽさが
あるけど、タヌキは体の割に足はあまり長くない設計なので、雪が深い所は避ける傾向にあります。
しかも、これだけ深く足が沈んだらお腹を擦りそうなもの。
そんな形跡もなく、辿ってみると、足跡の付き方が自由過ぎるというか規則性を感じないというか、
フラフラしてる印象。
頭の中は「タヌキじゃない?であれば??」という思考だらけ。
追跡すると、人が歩いて踏み固まったところへ出ました。
そりゃあ、歩きやすい方が良いもんね~、と一人勝手に相槌を打ちながら近づいてみます。
測定してみると、足も歩幅も全体的にタヌキにしては大きめサイズ。
あぁこれは・・・一応追跡を続けます。
フンがありました。
ほぐしてみると、固形物はなくペースト状。
野生動物であれば、植物の繊維、木の実のカスやタネ、小動物の一部、夏なら昆虫の一部なんかが出てきます。
この辺りで疑念はほぼ確信へ。
追跡開始から約1時間。
ココらへんで良いだろうと大体の人は追跡を止める所かもしれませんが、
足跡がついてからまだ時間が経ってなさそうだし、執念深くさらに追いかけます。
途中でエゾリスとウサギの足跡と合流して入り乱れても、追いかけます。
で、いました。
アクシデントでリードが外れたのか、逃げ出したのか、放たれたのかは不明ですが、ワンコ。
色々惑わせてくれましたね。
彼か彼女か分かりませんが、無事飼い主のもとに戻ってくれた事を祈ります。
そして、今度からはご主人と一緒にね!と心の中で伝えつつ、今日のブログタイトル「足跡ワンさか!」
お後がよろしいようで。
豪雪地帯であるニセコで、冬にエゾシカを見る機会は滅多にありません。
エゾシカは体重が80kg以上になる巨体を持つにもかかわらず、
蹄は長さ7cm、幅6cmと、体重の割に小さな足の持ち主で、接地面積が小さい分、
そこに圧が集中して足が雪の中に深く沈んでしまいます。
足の長さと同程度の積雪が生息の限度と言われて、エゾシカはそれがだいたい50~60cm。
人間ならスノーシューという道具がありますけどね。
それでも、ふかふかの雪が毎日降り続いたらスノーシューを履いても膝まで埋まる、
なんて事はよくあるエリアですし、それに加えて、エサとなるササが雪深くに埋もれているので、
エゾシカにとって生存に不利な事は言うまでもありません。
ただ、これは通説で、厳密な調査をしたら実は川沿いやトドマツ林といった場所で生息していた、
なんて結果がひょっとしたら出るかもしれません。
先日、森の中を歩いていると、普段見るのとは違う足跡を見つけました。
足跡の付き方といい、深さといい、夏と違って雪の上でははっきりと
した形が残りにくいですが、よくよく見ると蹄のようで、エゾシカっぽい。
今いる所は積雪が2m弱あるしまさかね、いや可能性はゼロじゃないのかな、
などと自問自答しつつ計測へ。
60cmの折尺で色々測ってみると、どうやらエゾシカで間違いなさそう。
という事で、追跡します。
木の周辺に付けられた多数の足跡。
むむむ。
近づくとハルニレの樹皮を剥いで食べていたようです。
この木以外にも、剥がされたものは複数ありました。
ちなみに、ハルニレは好んで食べる樹木の一つです。
何してるんだろう、どこ行くつもりなんだろう、と足跡から動きを想像しながら、
ストーキングを継続します。
これが結構面白い。(友達に根暗と言われたことがありますが、楽しいのよ!)
斜面を下りて行くと、足跡は沢に入って行ったり、逆に沢から上がって来たりしていました。
雪が深すぎて沢伝いに移動しているのか、水草を食べに行っているのか。
そのうち出会えないかな?
様子を見てみようと思います。
一年の計は元旦にあり!
今年の抱負を書き初め風に書いてみました。
海外の方が多くいらっしゃるニセコですが、あえて日本人らしい事を
楽しみながら自分の中に取り入れていく一年にしてみようと思います。
屋号の心和が逆になっただけじゃん!というツッコミがあるとかないとか。
細かいことはさておいて、人となりに現れるようになるには時間が掛かる
ことですが、色の一つとなってツアーにいらしてくださった方に感じて
もらえるように、楽しみながら頑張ります。
今年も皆さまにとって笑顔溢れる一年になりますように。